日本航空協会が所有していた「シャイベ ベルクファルケ II-55複座滑空機」は、日本の戦後初となるドイツからの輸入グライダーです。当時、外貨割り当ての少ない時期ではありましたが、本格的な滑翔技術の練習方法や機体設計・製作技術を進歩させるべく複座高性能滑空機の「ベルクファルケ」が選定・発注されました。当機は1958年8月17日に横浜港に到着。そのおよそ3ヶ月後、11月19、20日に藤沢飛行場にて航空局の耐空検査を受け、12月13、14日に同飛行場にて公開飛行を行いました。写真は11月19日に飛行機に曳航され耐空検査を受ける「ベルクファルケ II-55(JA2029)」です。 当時この機体に搭乗された方からは「性能も良く素晴らしいグライダーで良く乗ったが、方向舵と昇降舵が小さ目だったことから操縦が下手だと扱いが難しかった」とコメントをいただきました。また、機体構造は無駄を省いた作りになっており、飛行前の組み立ても容易でした。機体名の「ベルクファルケ」とは「山の鷹」の意味です。この機体のプロトタイプが1951年8月5日に飛行したこと、1958年8月17日に横浜港に到着したことから8月の1枚としてご紹介しました。主として関東と関西で1958年〜1966年頃まで活躍し、現在は千葉県山武郡芝山町にある航空科学博物館で保存されています。
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