1952年に自由航空研究所を設立した萩原久雄氏が東京都立航空工業高等学校(現東京都立産業技術高等専門学校)の協力などを得て1958年9月に完成、飛行させたのがラムジェットヘリコプター「JHX-4」です。主ローターの各先端にラムジェットエンジンを装備したもので通常のヘリコプターと違い、主ローター自身に動力があるため反トルクが発生しないという特徴があります。写真はエクスペリメンタル航空機連盟 理事の小谷修一氏が自由航空研究所に在籍し、「JHX-4」開発に携わっていた時のもので、その当時のことを同氏に伺うことができました(写真右の学生服姿が小谷氏)。 「ラムジェットエンジンの始動は新聞紙をボール状に丸めたものを各エンジン本体に1つずつ入れ、マッチで点火、機体についているハンドルを回すことで主ローターに回転を与え、毎分200回転を越えるとエンジンが自力運転に変わります。これで浮上できる状態になりますが主ローターがその回転に達するまでの10〜15分間ハンドルを回し続けるのは大変な作業でした。写真の撮影日は3〜4mの高さで安定したホバリングを5分程行いました。1号機である「JHX-1」はパルスジェットを搭載していたことから2km四方に爆音を響かせていましたが、ラムジェット搭載の「JHX-4」はだいぶ静かで機体から50m離れると話ができる程度でした。」 今年2021年1月15日に当協会が発行しました『航空と文化』2021年1月15日 新春号 (No.122)に掲載いたしました小谷氏の「小谷式ユングマンの挑戦」の中から今月の1枚としてご紹介させていただきました。
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