認定理由 |
一式双発高等練習機は陸軍の指示を受け立川飛行機で開発され、1941(昭和16)年に制式採用となり1342機が生産された。製造番号5541番の一式双発高等練習機(以下、5541号機と呼ぶ)は1942(昭和17)年に製造され、1943(昭和18)年9月27日、秋田県能代飛行場から青森県八戸飛行場へ向かう途中、原因は不明だが十和田湖に着水し水没した。2010年(平成22)水没場所が特定され、2012(平成24)年に引き上げられた。約70年間水没していたことで腐食が進行しており外板には穴が空いている箇所があるが、機体内外には運用時に塗られていた塗色や日の丸の赤色塗装、所属部隊を示すマーク、注意書きなどが残っている。5541号機は、世界に現存する3機の一式双発高等練習機の内、唯一日本に残るものである。乗員訓練用に設計された本機は日本の航空機開発の歴史を今日に伝えるとともに、塗色をはじめとして使用当時の状態を良く保っており文化財的価値も高い。これらのことから本機は極めて貴重な航空遺産といえる。 |