認定理由 |
防衛庁技術研究所は、高揚力装置実験のためにサーブ91サフィール小型練習機をベースに新設計の主翼を装備したX1G1高揚力研究機を製作、1957(昭和32)年から飛行試験を開始し有効性を確認した。さらにその後もフラップ上面に高圧の空気を吹き出して揚力を高めるシステムを採用した主翼などが本機で実験された。1962(昭和37)年に研究機としての役割が終わるとX1G1Bという名称となり、連絡機として使用された。本機での実験により得られた知見と技術は、C−1輸送機、PS−1飛行艇、MU−2ビジネス機に活用されたことから、本機のわが国の航空技術開発への貢献はきわめて大きい。また、研究機だった当時の痕跡も含めて使用時の状態をよく保っており、文化財的価値も高い。これらのことから、X1G1B高揚力研究機は我が国の航空機開発の歴史を伝える極めて貴重な航空遺産であると考えられる。 |