|
||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国際線発着調整業務の中立、公平、透明性を高める目的で、2008年1月に日本航空協会に「国際線発着調整事務局」が設置され早や4年が経過いたしました。『航空と文化』2010年第100号(新春号)に事務局発足2年の足跡を報告いたしましたが、今回はここ数年における首都圏空港(成田、羽田)に関する発着調整状況について報告をしたいと思います。 |
||||||||||||||||
〈 首都圏空港における容量拡大の推移 〉 2008年の「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)」において、2010年の新滑走路等の供用開始に向けて、成田国際空港・東京国際空港(羽田)を国際ハブ空港として一体的な運用を行うこと、容量拡大による国際空港機能の最大化を図ることが記されています。当事務局が発足してからここ数年間で、この方針に従い首都圏空港の容量は着実に毎季ごとに増加して来た感があります。図1に、2009年冬ダイヤ(W09)から、今後2015年度までの首都圏空港における容量拡大の実績並びに今後のスケジュールを示します。 |
||||||||||||||||
図1 首都圏空港における容量拡大の推移 |
||||||||||||||||
2010年夏ダイヤ(S10)においては成田国際空港のB滑走路2500m化に伴い2万回増の22万回になり、2010年冬ダイヤ(W10)においては、東京国際空港(羽田)の4本目の滑走路の供用により国際線が昼間時間帯3万回、深夜早朝時間帯3万回増加することとなりました。また、2011年夏ダイヤ(S11)においては東京国際空港の慣熟が終了したことで国内線が約2万回増加しました。2011年冬ダイヤ(W11)においては、成田国際空港における同時離発着の運用開始により、1.5万回の容量増が行われ、2012年夏ダイヤ(S12)からは更に1.5万回の容量増が行われ25万回となる予定であります。 |
||||||||||||||||
〈 成田国際空港における発着調整状況 〉 当事務局では、成田国際空港に関し約60数社の内外航空会社との間でスケジュール調整を行っていますが、2012年夏ダイヤに関しては容量拡大に伴い約14万スロットの要求を各航空会社より受けました。国際線、国内線のシェアーを図2に示しますが、国際線割合は約81%、国内線割合が約19%となっています。今回の容量拡大においては、格安航空会社(LCC)であるJet Star Japan、Air Asia Japan 等の新規参入により、国内線用スロットに多くの新規要望があり、その結果国内線のシェアーが従来の10%から19%に飛躍的に拡大しました。 |
||||||||||||||||
図2 成田国際空港(S12) |
||||||||||||||||
約81%を占める国際線の内、地域別の航空会社が要望するスロット割合を示したのが図3であります。その割合は、本邦会社が38%、北米系26%、アジア系27%、欧州系7%、その他が2%という比率になり、北米系、アジア系がほぼ同様の比率になっており、バランスの取れた路線配分となっています。 |
||||||||||||||||
図3 成田空港地域別航空会社シェアー(S12) |
||||||||||||||||
〈 東京国際空港(羽田)における発着調整状況 〉 当事務局では、東京国際空港(羽田)に関し約20数社の内外航空会社との間でスケジュール調整を行っていますが、2012年夏ダイヤに関しては約23万スロットの要求を各航空会社より受けました。国際線、国内線のシェアーを図4に示しますが、国内線割合が約90%、国際線割合が約10%となっており、成田国際空港とは真逆の関係になっています。約10%を占める国際線の内、地域別の航空会社が要望するスロット割合を示したのが図5でありますが、本邦会社が49%、北米系7%、アジア系43%、欧州系1%という比率になっており、本邦系とアジア系が圧倒的な比率を持っています。やはり、東京国際空港(羽田)では、東南アジアの近距離国際路線が大きなシェアーを占める結果となっています。 |
||||||||||||||||
図4 東京国際空港(S12) 図5 東京空港地域別航空会社シェアー |
||||||||||||||||
〈 首都圏空港発着調整委員会の設置 〉 発着調整業務の透明性を確保するため、IATA(国際航空運送協会)の国際的ガイドラインでは、レベル3の混雑空港における発着調整委員会の設置を推奨しています。このガイドラインに従い、成田国際空港及び東京国際空港(羽田)を対象とした「首都圏空港発着調整委員会」を設置することで昨年初めより調整を行ってきましたが、第一回「首都圏空港発着調整委員会」が、2011年9月21日、航空会館において開催されました。第一回委員会の出席者は、航空会社から72名、航空局から21名、空港会社等から9名の総勢102名でありました。主要な議題は、下記に示すようなものであり、当事務局のホームページにもこの委員会の概要が掲載されています。 |
||||||||||||||||
第1回「首都圏空港発着調整委員会」の模様 |
||||||||||||||||
〈 国際線発着調整事務局の今後 〉 図1に示すように、成田国際空港においては、平成25年度に誘導路の新設、改良、駐機場の増設等により27万回へと容量が拡大される予定であります。また、東京国際空港(羽田)においては、平成26年度にC滑走路の延長、国際線ターミナルビルの拡張等により約41万回へと容量が拡大される予定であります。当事務局においては、引き続きこれからの数年も成田、羽田空港の容量拡大について、目が離せない状況が継続する予定であります。 このように、首都圏空港の容量は拡大の一途を辿りますが、当事務局としては、IATAの国際的ガイドラインに従い中立、公正、透明性を確保しながら、国際線発着調整業務を今後も継続していく決意でありますので、引き続きのご理解、ご支援をお願いいたします。 |
||||||||||||||||
(おわり) |
||||||||||||||||
*本記事は『航空と文化』(No.104) 2012年新春号からの転載、一部変更したものです。 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||