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【新年のご挨拶】日本航空協会会長
毎年実施しておりました恒例の新年賀詞交換会は、新型コロナウィルス感染防止のため中止のやむなきにいたりました。例年、賀詞交換会の冒頭で申し上げておりました当協会会長、篠辺修の年頭のご挨拶を掲載させていただきます。
一般財団法人日本航空協会 会長 篠辺 修
新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり日本航空協会を代表してご挨拶申し上げます。
我が国の航空需要は、昨年の年初より顕在化した新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言が出されるなど、感染拡大防止のための移動制限等の影響で航空旅客需要は衝撃的な減少となり、これまで経験がない極めて深刻な事態に陥っております。夏以降は国内需要は徐々に戻りつつありましたが、国内での感染再拡大や、国を超えた移動制限など、航空旅客の回復にはまだまだ時間がかかることが予想され、ワクチン開発等による一刻も早い収束が待たれるところです。
感染症による航空需要の落ち込みは、残念ながら国産旅客機スペースジェットの開発計画を始め、国内の航空機産業にまで影響を及ぼしました。他方、宇宙技術では、昨年末にはやぶさ2が地球に戻り、小惑星から採取したサンプルを地球に届けたあと新たな旅立ちを開始、また、民間で開発した宇宙機で野口宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに到達するなど、明るいニュースが届けられました。
当協会の文化情報事業では、航空宇宙の各分野で活躍されている方々のご協力をいただきながら、航空図書館の運営や機関誌『航空と文化』の発行、定例講演会を通じて、航空宇宙の最新の話題から身近な航空スポーツに至るまで、広範な話題を皆様にご紹介してまいります。
航空にまつわる文化遺産継承の取組みでは、重要航空遺産の認定、資料の収集、調査、保存を継続するとともに、書籍の発行やホームページの活用により、多くの方にご覧いただけるよう努めてまいります。
航空スポーツの分野においても、新型コロナウイルス感染症の影響は例外なく波及し、残念ながら国内、海外を問わず多くの競技会やイベントが開催中止や延期に追い込まれました。しかしながら昨秋以降は各主催団体のご理解とご協力を得ながら、協会独自に策定した「新型コロナウイルス対策ガイドライン」に基づき若干ながらも各種国内競技会、イベントが再開されております。本年も引き続きこのような「With コロナ」の体制を堅持し少しでも明るい空のスポーツの話題を提供してまいります。また本年は次世代を担う子供たちへの発信強化についても「青少年航空宇宙絵画国際コンテスト」の内容の拡充などを通じて積極的に行ってまいります。
国際線発着調整業務では、5つの混雑空港に就航する定期便について、世界共通のガイドライン等に則り、中立性、公平性、透明性を確保しつつ、発着スケジュールの調整業務を行っております。昨年来、新型コロナウイルスの影響で航空需要が大きく落ち込み、国際線では未だ非常に限られた運航となっています。今後、必要な運航を維持し、航空需要の回復に対応した復便や新たな運航の実施が計画されることになりますが、この様な状況に的確に対応できるよう、国際的にも連携して発着調整を行ってまいります。
日本航空協会といたしましては、コロナ禍の中でも可能な限りの活動を推進することで、今後も微力ながら航空宇宙文化の醸成と航空宇宙技術の発展に貢献してまいる所存でございます。このような活動が継続できますのも、一重に空を愛し、宇宙を愛する皆様の温かいご支援があってのことと改めて御礼申し上げますと共に、引き続き皆様方のご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
皆様と航空宇宙業界のご多幸と発展を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和3年1月