所 在 地 |
東京都渋谷区 |
解 説 |
日本での飛行機による初の動力飛行は、陸海軍により組織され飛行機の研究を進めていた臨時軍用気球研究会により計画された。当時、日本には専用の飛行場が完成していなかったため、陸軍代々木練兵場において1910年(明治43)12月11日から20日までの間に実施された。ドイツから輸入されたハンス・グラーデ1910年型とフランスから輸入されたアンリ・ファルマン1910年型が使用され、それぞれ陸軍の日野熊蔵大尉と徳川好敏大尉が操縦した。12月14日には日野大尉のグラーデ機が飛行に成功し、19日に徳川大尉のファルマン機も飛行に成功した。
代々木練兵場は陸軍省が初飛行の前年、1909年(明治42)に兵士を訓練する場として東京市の渋谷町と代々幡村にまたがる丘陵に設けたばかりであった。臨時軍用気球研究会長から陸軍省に代々木練兵場を飛行機試験実施のために提出した書類には飛行場の略図が添付されており(アジア歴史資料センター、レファレンスコード C06085048200 )、略図により飛行範囲を確認することが出来る。飛行実施後も練兵場として使用されたが、第2次世界大戦終戦後にアメリカ軍の宿舎地・ワシントンハイツとして接収された。その後、東京オリンピックの際に選手村などにあてるため返還された。
前述の略図を現在の地形図に重ね合わせた地形図により、初飛行の行われた飛行範囲を特定することができる。飛行範囲に該当する地域は今の渋谷区に位置し、日本スポーツ振興センター、日本体育協会、日本放送協会、明治神宮、代々木競技場、代々木公園、代々木深町小公園等が所在している。飛行範囲の東、西、南の境界線は現在でもほぼ同位置に道が通っており、その境を確認することが出来る。また、飛行範囲の北側に位置する現在明治神宮および代々木公園となっている地域は、初飛行当時の陸地の起伏が現在でもある程度残っていることが地形図などから確認できる。
代々木練兵場に於けるわが国初の飛行機による動力飛行の成功は、日本の航空史の原点とも言うべき出来事である。また、飛行が行われた代々木練兵場跡地は、明治神宮および代々木公園の敷地を初めとして現在も初飛行当時の様子をうかがえる状態にある。これらのことから、当該地域は日本の航空に関する史跡の中でも極めて貴重といえる。
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代々木練兵場飛行場略図
略図を現在の地形図に重ね合わせた地形図
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の1万分の1地形図を複製したものである。
(承認番号 平22業複、第526号)
無断複製を禁ず。
※認定対象となる飛行範囲は、南北約1 km、東西約1.2 km、面積約0.72 km2
空から見た代々木練兵場 大正14年(1925年)
現在の代々木公園
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