航空遺産継承基金 ギャラリー 日本陸軍『航空写真帖』昭和8年5月 |
146/406枚目 画像ファイル名:Ka-089_p057-4.jpg 【オリジナルキャプション】 大正二年十一月尾参特別大演習ニ於ケル名古屋城空ノ両軍ノ飛行機 本写真は、『日本航空史 明治・大正編』p.109(pdf182コマ目)では、「名古屋城上空を飛ぶモ式」として紹介されている。この演習には、4機のモーリス ファルマン1913年型と、会式五号、六号の計6機の飛行機が参加した。 また、徳川好敏著、『日本航空事始』p.132では「名古屋城上空を飛び交う両軍機」として紹介されている。徳川は、この大正二年特別大演習に参加した六人のパイロットの一人である。 尾参は、「尾三」の別表記。現在の愛知県にあたる旧国名「尾張」と「三河」の地域をあわせてそう呼ぶ。 大正二(1913)年の特別大演習は名古屋附近で開催されている。 特別大演習は、原則毎年秋の演習の最後に行われる大規模な演習であり、天皇自ら統監する、最も権威のある演習であった。 大正元(1912)年の特別大演習は、臨時軍用気球研究会のある所沢を中心に行われたこともあり、初めて飛行機が参加した特別大演習となった。演習では、飛行機は敵の迎撃を受けない空中を高速で移動できる唯一無二の利点を活かし、偵察に威力を発揮した。それまでの騎兵偵察では考えられないスピードでの偵察に軍上層部は驚き、新聞も飛行機の活躍を報道した。これをきっかけに陸軍は飛行機を不可欠と考えるようになり、以後の特別大演習には毎年飛行機が参加するようになった。一方、航空要員の組織的な育成(交通術修業員養成制度での操縦・偵察観測将校養成)はまだ始ったばかりで、一層の教育が図られるようになった。 参考: 徳川好敏著、1964、『日本航空事始』(出版協同社発行)航空図書館所蔵:p.132 松原治吉郎、2023、『陸軍航空の形成――軍事組織と新技術の受容』錦正社(航空図書館所蔵):p27-53 日本航空協会、1956、『日本航空史 明治・大正編』航空遺産継承基金アーカイブ |
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