憧れのニュージーランドを飛ぶ (1)

1. はじめに

 今年(平成22年)5月末で家内ともども早期退職したが、できるだけ早いうちに二度くらいは海外に出掛けようということになっていた。家内の第一希望はイタリアで、当初私もそのつもりだった。ところが、ある事情が発生してバタバタと出掛ける必要が生じたため、今回は私が半ば強引にニュージーランド行きを決めてしまったのである。もちろん、そこには趣味のグライダーが絡んでいる。グライダーのためだけでなく、もともとニュージーランドの牧歌的雰囲気には憧れていたし、ミルフォード・サウンドに代表されるフィヨルド地帯やマウント・クックなどの大自然、加えて、おとぎの国のように美しいクイーズタウン、これらには前々から惹かれていて、いずれ必ず行こうと考えては
いたのである。
 上に述べたように今回、色々な条件が重なって、予定外に早く行って来てしまったわけだが、10月10日に出発して18日に帰国するまでの10日足らずの旅行について、いつもの調子でその一部始終を述べれば、とんでもない長文になりそうなので、ここでは敢えて一般観光地の説明はできるだけ避けて、飛行機好き、グライダー好きの皆さんのために、飛行機、グライダーに関係あることに限定して書いていくことにする。日頃の行いが悪いのか、これまで気合を入れた旅行では常に天候に恵まれていなかったが、今回に 限っては、到着した11日午後から帰国する前日の17日まで、完璧な晴天に恵まれた。グライダーフライトも含めてである。どういうわけなのだろうか。

2. 成田-オークランドあるいはニュージーランド国内

 成田からニュージーランドの中心、オークランドまでは約8,900 km、およそ11時間の飛行になる。10日午後6時15分に成田を離陸し、到着はきっちり11時間後の11日午前5時15分(現地時間9時15分)だった。機体は往復ともJALのコードシェア便、ニュージーランド航空のボーイング777-200ERだった。
 このルートでは太平洋横断路線のような強い偏西風の影響がないため、帰路もほぼ同様。因みに帰路の所要時間は10時間28分で、オークランド離陸後、赤道通過まで約5時間20分だった。飛行ルートを示してくれるテレビモニターを見ていると、トラック、ポートモレスビー等、第二次大戦中の激戦地の名前が出てきて、その上空をなぞるように飛んでいく。グアム、硫黄島を過ぎる頃には、東京空襲を目指したB-29の搭乗員はどんな思いで北上していたのだろうなどと、少々場違いなことも思っていた。

 オークランド国際空港は海岸近くに作られた空港で、3,300 m (05/23)の平行滑走路を持っている。ただし、確信はないのだが、05L/23L側の滑走路はあまり使用されていないように思った。ともあれ、何せ人口400万人強の国だから、圧倒的に人口も人口密度も少なく、成田のような混雑もなく、全体にゆったりした感じを受けた。
 ここからすぐに国内線に乗り換えてクライストチャーチまで約1時間20分の飛行。機体はボーイング737-300で、帰路クイーンズタウンからオークランドまでも同型機だった。今回移動中に各空港で見かけたニュージーランド航空のその他の機体は、B747-400、ATR72-500、ボンバルディアQ300、ビーチクラフト1900Dだった。クイーンズタウンでは、バスで移動中にコンベアと思われる双発機を遠くに見たので、帰宅して調べてみると、どうやらエア・チャタムというチャーター会社のコンベア580のようである。こういう機体がまだ飛んでいるというのが英国圏で、やはりすごいなと思う。残念なことに、クイーンズタウンを発つ時にチャンスはあると思っていたのだが、エプロンには見えず、写真に収めることはできなかった。

 翌日のクライストチャーチ観光は高原列車で分水嶺までの旅、そしてジェットボートでの川遊びだったので、話は省略。ここは途中で描いたスケッチで誤魔化すことにしよう。 

3. マウント・クックを飛ぶ

 翌13日、クライストチャーチからバスで走ること約5時間、ニュージーランド南島の脊梁山脈、サザンアルプスを間近に望むテポカ村に到着した。今日も完璧な快晴である。この村の人口がここらではかなり多い300人だとか、石造りの教会が有名だとか、その教会の前には開拓時代に活躍した牧羊犬の像があるとか、そんなことはどうでもよくて……。いよいよテカポ湖飛行場から出ているマウント・クック遊覧飛行なのである。テポカ湖飛行場はとても空港とは言えない。管制塔もないし、やはりイメージとしては飛行場という言葉がふさわしい。因みにイギリス圏では、サイズを問わず空港のことをエアポートとは言わずに、エアロドロームと言うのが一般的のようだ。天気は完璧、風もない。これでわくわくしてこない方がおかしいというものだ。観光バスの乗客の半分程度が日本人だったのだが、なぜか空からの遊覧を希望したのは我々夫婦の他には新婚さん1組のみだった。340ドルが惜しいのか、飛行機が怖いのか……。

 マウント・クック遊覧飛行を行っている事業会社は、Air Safaris と言い、使用機は「セスナ208Bキャラバン」1機、それに「ノーマッドN24A」を3機、「ギピスランドGA8エアバン」4機である。今回の我々の搭乗機はエアバン(ZK-SRE)で、空港で待機していたニュージーランド人2人を加えた6名が乗客。私は、機長の横の副操縦士席が良いと申し出て、眺めの良い席をしっかり確保したが、逆に家内を一番後ろに1人で乗せてしまうはめになってしまった。あとで家内から恨みごとを言われることを覚悟したが、何のことはない、家内は家内で細くなった最後部座席で左右の景色を楽しんだようだ。コ・パイロット席は通常のシートベルトと違って4点で締めるタイプだった。機長が締め方を教えようとしたので、大丈夫、知っている、俺はグライダーパイロットだと言うと、へぇ、そうかい、という顔をして、それでも締め終えたベルトをチェックした。

 飛行前点検を済ませた機長が、各人の乗り込んだドアを閉めて回り、最後に自らも乗り込んできて、簡単に非常時の対応を説明する。ただし早口で何を言っているかさっぱり分からない。まぁ、常識に従えばいいだろう。彼は何か冗談を言ったらしく、二人のニュージーランド人だけがどっと笑った。悔しいから、滑走路はどれくらいあるの?と尋ねると、答えが返ってくるまでちょっと間があった。意味が通じないのか、発音がまずいのか? ややあって約1,000 m との返事。へぇー、そんなにあるとは思えないがなぁ。滑走路幅もたぶん10 m あるかどうか……。完全にローカルというか、企業所有のような滑走路なのだろうと思った。

 

 12時ちょうど、滑らかにエンジンの回転数が上がり、機長は短いタキシーウェイからランウェイに機を入れて右ターン。ランウェイ14エンドでくるりと機体を旋回させた。いよいよ離陸である。風はほとんどなく視程は抜群。短く交信すると、機長はスロットルを押し込んだ。滑走路の半分も使用しないでエアボーン。左に90度旋回してテカポ湖上空を飛ぶ。湖の色が得も言われず美しい。コバルトブルーという表現が一番だろうか。氷河が岩を削って作った細かい岩の粉のせいでこのような色になるという。長約30 km の湖を縦断し、氷河下流の荒涼とした谷間上空に到る。谷といってもかなりの幅である。帰宅後確認してみると2~4 km もある。その深いU字谷に入り込んで行きながら、同時に高度をしっかり上げて行く。

 谷の奥に小さな湖が見え、その先に氷河が見えてきた。ゴリドー氷河だという。そこから大きく左旋回すると、もっと大きな氷河。機長が英語で解説したあとに日本語で言う。「レフトハンド、二番氷河(にばん、ひょーが)マーチンソン」。これなら分かるだろう、とでも言いたいのか、私に顔を向けて右指をおっ立てた。さらに西進し、タスマン氷河上部に出る。「一番氷河、タスマン」と、これまた得意げな機長。全長29 km、最深部800 m だとか。氷河にはところどころクレバスが見られ、その口をあけた部分が、何ともいえない薄緑青色をしていて美しく、かつ不気味でもある。計器を見ると高度は8,800フィートを示していた。マウント・クックは3,754 m ( 12,300 ft )だから、与圧装置のないこの機体ではせいぜい10,000フィートが限界だろう。高度を上げられるのもあと少しである。

 

  さらに左旋回すると、正面にマウント・ラ・ペルース( 3,078 m )が見えてきた。左手にはマウント・タスマン( 3,497 m )、そしてその奥にマウント・クック。機体は二つの高峰に沿うように南下していく。高度は10,000フィートを少し切る程度だったろうか。タスマンの山頂が手を伸ばせば届くくらいに見える。誰か登っていないかと目を凝らしてみる。もちろん見えはしなかったが……。機体はすでに山脈深く入り込んでいるのだが、安定した飛行を続けていてタービュランスも全く感じない。バスで解説してくれた日本人観光ガイドが、「本当に、本当に、こんなに天気のよい日は少ないんですから、是非乗ってみて下さい」と何度も何度も遊覧飛行を薦めていたが、やはりあれはセールストークではなく、本音だったのだ、と思う。機体は高峰から延びる尾根を何度か越えても微動だにしなかった。マウント・ラ・ペルースを過ぎて左旋回し、マウント・クックに西側から回りこむ。山頂はニュージーランドの最高峰らしく、他の山とは違った気品ある威容を見せて、山頂がぐっと迫ってくる。風もないのか雪煙も見えない。西側から山頂の南側を東に抜ける。美しい、本当に美しい。

 圧倒される美しさに、どうしてもシャッターを押してしまう。カメラに頼らず、この光景をしっかりと目に焼き付けることはできないのか!その方がずっと良いのに……。しかし、やっぱりシャッターを切ってしまう。日本人の、悲しいといえば、悲しい性。私も今回の旅のために、あえてニコンのミニサイズカメラを買ったのだが、しかし一眼レフを持って来ようとは思わなかった。ところが、今回の旅ではかなりの東洋人が得意げにニコンやキャノンの高級一眼レフを振り回しているのを見かけた。時代の変化というべきだろうか。

 

   機体はプカキ湖に到るタスマン氷河の下流域に来た。右側眼下に小さくマウント・クック・ビレッジが見えてきた。ここにある立派なホテル、ハーミテージで今日は昼飯の予定だ。ここからは真正面にマウント・クックが望めるという。タスマン川は一本の川ではなく、広い谷間を細かい網の目のように幾筋もの流れを形成してプカキ湖に注いでいる。上空から見ると、上手く表現できないが、何か川自体が意思を持って自ら流れる方向を決めているように思える。あるいは人間の血管のようにも思える不思議な光景である。

 てっきり、テカポ飛行場に帰るのだとばかり思っていたのだが、ここにきて一気に高度を落とし始めた。気がつくと目の前に飛行場が見えてきた。実はテカポ飛行場から観光バスはここまで来て待機してくれていたのだった。後で調べて分かったことだが、この飛行場はグレンタナー飛行場で、1,000 m の転圧滑走路(01/35)に600 m のグラスランウェイ(05/23)がある。湖上空から回り込んでランウェイ35にアプローチしていく。やがて滑らかに接地。やや、滑走路は下っているようだ。エンドまで走り、そこから05のグラスランウェイに入り込んだ。ここからは逆に上っている。そのエンドでバスが待っていた。ここからはヘリも運航されているようだ。エンジン停止後時計を見ると12時50分。約50分の遊覧飛行となった。それも大満足のエキサイティングなフライトだった。機長に手を差し出して「ナイス、ランディング」と言うと、力強く握り返してきた。

 

4. ミルフォード・サウンドの女性キャプテン

 実は、ミルフォード・サウンドについてはかなり前から知っていた。第5章で述べるオマラマよりも先だったと記憶している。それには二つの理由があって、一つはNHKビデオ「世界一美しい散歩道」を観ていたからである。もう一つはグライダー界ではかなり有名なビデオ「WIND-BORN, A JOURNEY INTO FLIGHT」に、マウント・クック近くをグライダーが飛び、名も知らない素晴らしい滝を飛び越え、深いフィヨルドを辿って、最後には海岸の砂浜に着陸するシーンが出てきて、そのフィヨルドこそがミルフォード・サウンドと知ったからである。

 ミルフォード・サウンドに辿り着くまで、クイーンズタウンからバスで約5時間かかった。往路はまだ良いとしても同じ道を引き返す5時間はちょっと辛い、と思っていたら、やはり日本人観光ガイドから、現地からクイーンズタウンにフライバックできますよ、という耳寄りな話を聞いた。約35分で375ドルだという。家内は今度はやや渋い顔をしたが、「絶対に絶景が楽しめる、こんな時にケチったら後で後悔する」と力説し、説得して、ガイドにお願いしますと申し込むと、現地についてから飛ぶかどうかが決まります、あくまで当日その時刻まで分からないということでご了解下さい、とのこと。多分狭い谷間の短い滑走路に加えて、西海岸のこの地域は偏西風が山脈に当たって年間8,000 mm を超える雨を降らせるそうだから、視界不良の場合も多いのだろう。高度な航法誘導装置があるとも思えず、フライトキャンセルは日常茶飯事なのだろうと心する。
 10月14日、起きてみれば、見事な快晴である。現地新聞でも南島全域で晴れマークしかない。きっと大丈夫だと確信した。しかし、ガイドはあくまで現地に行ってからです、と慎重さを崩さない。きっと過去何度か痛い目にあっているのだろう。駄目ならそれでいい。5時間寝るだけだ。
 7時半にホテルを出て時折停車して観光地巡りをしながら6時間かけてミルフォード・サウンドの港に着いた。近くに空港があるらしくセスナやアイランダーがガンガン離着陸を繰り返している。それでも、ガイドから「大丈夫です、飛びます」と言われたのは、1時間半のフィヨルド・クルーズを楽しんだ後だった。
 空港に連れて行かれる。ここには小さいながらも管制塔があるから空港ということにしておこう。ニュージーランド航空局 (Civil Aviation Authority of New Zealand) では、この空港に関する離発着の解説書を用意している。不安定な天候、切り立つ崖のため難しいアプローチ、不安定な風向、しばしば発生するウィンドシア、十分とはいえない滑走路の長さ……について詳しく述べている。特に海側に向かって着陸する時(RW29)のアプローチはU字谷の中で旋回を強いられるシビアなものだ。できれば体験してみたかったが、心臓バクバクものではないだろうか。

 搭乗客はもう一組があって、そちらが先行し、我々は二番目となった。それは良いとしても、しばらく待っていた間に我々の世話をしてくれていた女性がそのまま当然の如くキャプテン席に乗り込んできた時には驚いた。彼女にクイーンズタウンまでは飛行時間はどれくらいかと聞いた。それに愛想もなく短く「35分」とだけ返事してくるような御仁である。天候が良いとはいえ、ここからの離陸や飛行は生易しいものではないだろう、正直、大丈夫かなぁと思った。これは決して女性差別ではない。圧倒的にプロの女性パイロットが少ないのは世界的事実なのである。乗客は我々2人にもう一組の新婚さん(マウント・クックの時とは別のカップル)、それに国籍の分からないアングロサクソン人2名の合計6名だった。

  今度もコ・パイロット席を考えたが、かなり年配のおじいさんが先に座ってしまったので、家内と2列目の席に収まる。女性キャプテンはマウント・クックの時の機長のようなサービス精神はないのか、お決まりの非常時の説明を早口でまくし立ててからは飛行中の解説は一切しなかった。搭乗機はBN-2 アイランダー機で、パイロットも含めて10人乗り。巡航速度273 km/h、航続距離は1,400 km とカタログデータにはある。双発・固定脚で、わが国でも離島航空路でかなり使用されてきた機体だが、もちろん搭乗するのは初めてである。女性キャプテンは手馴れた手つきで(当たり前で、そうでなくては困るが)離陸前点検を済ませ、エンジンを始動させた。2列目の席はちょうどプロペラの回転位置に当たり、あまり気持ちよいものではない。キャプテンが管制塔と何か早口で喋っている。さぁ、出発しますよ、いいですかという調子で一端後ろを振り向いて全員の状況を確認すると、誘導路を通って滑走路29エンドへ。ブレーキをかけてスロットルを押し込んでパワーを上げ、「Here, we go!」。15時45分、ブレーキをリリースした機体はぐんぐん加速して滑走路を十分余してエアボーン。正面に迫る山を避け、フィヨルド沿いに軽く右旋回し、さらに高度を上げて行く。両側には海面から1,600 m 程度の岩峰が迫り上がっている。文字通り絶壁の間を飛び抜けている。頼るは女性キャプテンとエンジンのみである。彼女は少しも動じた感じはなく(これも当たり前だが)、交信やトリム調整に忙しい。力強いエンジン音が心強い。やがて、さきほど1時間半でクルーズ往復したミルフォード・サウンドの入り口付近に到達。湾口にあるセイント・アン岬の灯台が見えた。一端、海(タスマン海)に出てから大きく左旋回して南に向けて飛ぶ。高度は9,000フィートまで上がっている。

 右手奥、山の中腹のかなり高いところに湖が見えた。そして、その端から湖水が滝となって流れ落ちている。突然、「WIND-BORN」の一シーンがよみがえった。湖面ギリギリにグライダーが飛んで、その一番低い部分、つまり滝になって流れ落ちている所を突っ切って飛び抜ける印象的なシーンである。帰ってから確認してみようと思った。しかし、絶対に間違いなく、あの滝だと思った。だとすると、海岸線に砂浜が見えるはずだ。振り返って海岸線を見ると、2、3箇所砂地の海岸線が見て取れた。これで間違いないと確信した。資料によれば、この湖はクィル湖。滝はニュージーランド最大の580 mの落差を誇るサザーランド滝、とある。何となく嬉しくなった。あれだけ感動したシーンの一部をこの目でしっかり見ることが出来たのである。この晴天にも感謝しなければならない。

 それからは、もう特に感動はない。ともかく美しいサザンアルプス上空を女性機長は判で押したようにキッチリ9,000フィートを維持して飛行を続けている。家内が右下方に、先行して離陸した同型機を見つけた。たぶんその機からの交信があったのだと思うが、女性パイロットは「ネガティブ・インサイト」と応えていたから、彼女には見えなかったのだろう。家内が指差し、私も窓に頭をくっつけて下を覗いた。ざっと500フィートの高度差で追従している。我々の動きを察したのか、女性パイロットが振り向いたので私が指で右下方を示すと、了解ということだろう、右手親指を立てて応えた。
 やがて、クイーンズタウンに通ずるワカティプ湖上空に出た。そのまま湖に沿って高度を下げ始める。何度か無線交信もしている。左手前方にクイーンズタウンの綺麗な町並みと特徴ある岬が見えてきた。さらにエンジンを絞って高度を落としていく。対岸の町、ケルビン・ハイツにある、かなりの高さの山の右側を回り込んでアプローチするようだ。町並みや車の往来がはっきり見える高度になっても2,000 m の滑走路に直交するようにアプローチを続けていく。あれ、れ、れ、れ、どうするの?いつオンファイナルするの?と思っていたら、何とメインのアスファルト滑走路に直交するグラスランウェイ(芝の滑走路)がどんどん迫ってきた。着陸するのはこちらなのだ。ナンダァ、である。広い芝の滑走路を左に旋回して停止スポットに入った。エンジン停止、16時20分。彼女が言った通り、きっちり35分のフライトだった。着陸後カメラを向けたら軽くポーズを取ってくれたが、にこりともしなかった。

以下、次回に続く

執筆

古谷 眞之助

中国航空協会

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