基調講演 |
1.秋山 豊寛(あきやま・とよひろ)氏 |
宇宙飛行士 |
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【経歴】 |
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ジャーナリスト。1942年生まれ。
TBS・東京放送報道局に勤務していた1990年12月2日から9日間、日本人初の宇宙飛行士としてソビエトの宇宙船ソユーズ、宇宙ステーション・ミールに搭乗。
地球の映像を撮影・生中継した。
世界宇宙飛行士会議理事 |
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【講演タイトル】 |
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宇宙旅行の夢を実現しよう |
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【講演概要】 |
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宇宙観光という多くの人々の夢が、少しずつではあれ実現に向かいつつあることは、大変喜ばしいことだ。国家の資金をあてにせずに宇宙機を開発し、それによって宇宙へ飛び立つことに挑戦する人々が存在すること自体、同じ夢を共有する者として勇気づけられる。
日本では、残念ながら、まだ、そのための具体的な歩みを踏み出すまでには至ってはいない。しかし、これまでに少しずつではあれ、蓄積した努力は、必ずや、未来を開く礎にはなるだろう。
「観光」は、極めて重要な21世紀型の産業である。宇宙観光は、生きとし生ける者すべての故郷である地球についての人々の認識を更に深いものにするだろう。普通の人々が大量に宇宙飛行を体験することは、宇宙を、軍事優先の状況から解放することにもつながる。
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【経歴】 |
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元日本エアシステム機長
1964年航空大学校入学以降、14,000時間の飛行経験を有する。
飛行試験の経験も有する。 |
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【講演タイトル】 |
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宇宙機への搭乗 |
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〔副題〕 |
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サブオービタル(弾道飛行)の試験飛行に関するテスト・パイロットへのアンケート調査 |
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【講演概要】 |
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アンケートに応じた50名のうち、40名(80%)がテスト・パイロットとして搭乗することを希望するという結果を得た。そのテスト・パイロットたちの宇宙機への期待と要望は以下のとおり。
(1)安全と判断できる重要な情報 |
(2)機体喪失率レベル |
(3)妥協できる安全最低レベル |
(4)宇宙機搭乗の条件 |
(5)搭乗希望など |
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3.水谷 定博(みずたに・さだひろ)氏 |
Xプライズ財団 |
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【経歴】 |
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東京大学宇宙惑星科学修士課程卒
(株)日立製作所にてスーパーコンピューターのエンジニアとして勤務。
2004年4月単身渡米。
X PRIZE Foundation 日本事業担当ディレクター
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【講演タイトル】 |
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X PRIZEとアメリカの熱気 |
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〔副題〕 |
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アメリカにおける民間宇宙輸送機開発の動向 |
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【講演概要】 |
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アメリカ時間2004年10月4日早朝、アメリカカリフォルニア州モハベ砂漠、X PRIZE Foundation(米)の主催するアンザリX PRIZE コンペティション(世界7ヶ国から26チームが参加)において、B.ルタン率いるScaled Composites社(米)は、開発したスペースシップワン(以下SS1と表記)を打上げ、無事地球へと帰還させることに成功した。このイベントは世界中にビッグニュースとして報道されたが、当事国のアメリカの熱気はものすごく、後世に残る歴史的イベントにふさわしい熱狂ぶりであった。この成功の前後で、航空機産業のメッカともいえるここカリフォルニアではアメリカ政府を巻き込む民間宇宙産業の機運が急速に高まりつつあるのである。その現状についてお伝えしたい。
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一般講演 |
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【経歴】 |
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元全日空機長
30年以上、14,000時間に及ぶ定期航空の機長としの飛行経験を有する。
航空機の運行技術や乗員養成を担当した経験も有する。
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【講演タイトル】 |
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宇宙輸送機の操縦士養成を始めよう |
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〔副題〕 |
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我が国初の宇宙輸送機パイロットの養成・訓練システムを考える |
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【講演概要】 |
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我が国にはいまだに宇宙パイロットは存在しない。NASAのスペースシャトルのパイロット(コマンダー)候補は、ジェット機によるPICタイム(機長時間)を少なくとも1,000時間必要とされ、試験飛行業務の経験が必須ではないが強く求められている。 |
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我が国にはいまだに宇宙パイロットは存在しない。NASAのスペースシャトルのパイロット(コマンダー)候補は、ジェット機によるPICタイム(機長時間)を少なくとも1,000時間必要とされ、試験飛行業務の経験が必須ではないが強く求められている。 |
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我が国おいて、宇宙機のパイロットにジェット機の機長時間を求めるとすれば、防衛庁の一部のパイロットか、航空会社の機長経験2年以上のパイロットが対象になる。しかも、試験飛行の経験を必要とすると、その範囲はきわめて小さなものになる。 |
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宇宙輸送機のパイロット養成は、航空機の機長養成と訓練のシステムと強く関連づける必要がある。そのパイロットに求められる資質はなにか。求められる学歴や身体的条件、経験はどうするか。そして、どのような施設で、何を、どこまで訓練するか。 |
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【経歴】 |
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東京工業大学工学部修士課程卒
日本航空株式会社入社後、エンジン工場勤務、運航技術部課長、米国ナパ運航乗員訓練次長、JALインフォテック社部長等
2002年9月より財団法人日航財団 主任研究員 |
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【講演タイトル】 |
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航空事業から宇宙事業化を検討して |
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【講演概要】 |
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(1) |
種々のアンケート調査によれば、一般に宇宙旅行に行きたいとの希望は相当高く、旅行代金の高さによる難しさはあるものの、僣在需要は相当量あると考えられる。但し、安全性への不安の払拭、現実感の醸成が大前提となる。 |
(2) |
事業化分科会では、「観光丸」構想のデータを基に事業化のシミュレーションを行なった。座席利用率、機体価格、機体稼働率等を様々に変化させ収支評価を行なった結果、事業化が困難な場合もある一方、条件次第で事業化が可能であることが確認された。 |
(3) |
「観光丸」の仕様上の性能は素晴らしいものであるが、運航会社として実際にどの程度仕様通り具現化されるかがポイントとなる。 |
(4) |
宇宙旅行をより現実感あるものとするためには、民間のみでそれを行なうのは困難であり、国が日本独自の有人宇宙船を開発、運用し、それによって「宇宙機」に必要な要素技術を開発し、宇宙飛行への国民の関心を醸成、啓蒙することが不可欠である。 |
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3.米本 浩一(よねもと・こういち)氏 |
川崎重工業 |
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【経歴】 |
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1980年川崎重工業入社。
13年間にわたり再使用型宇宙輸送システムや宇宙旅行に関わる安全性の研究等、宇宙開発分野での研究開発に従事。
6年程前から航空機分野に転じて航空機の開発を担当。 |
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【講演タイトル】 |
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宇宙旅行機の安全性再考 |
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【講演概要】 |
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「・・・こうなると宇宙旅行機は実現できそうもないという悲鳴が聞こえるようになって来た。そして航空機よりも安全基準を緩和して、宇宙旅行機を成立させるようにすべきだという意見も出てきたことは事実である。しかし、これは本末転倒の議論であると言わざるを得ない。最新の航空機と同等か、それ以上の安全性を証明できる宇宙旅行機でなければ、監督官庁は宇宙観光事業に供することを許可しないであろうし、世論もこれを許さないであろう。・・・」は、ロケット協会運輸研究委員会の第3期の研究成果報告書「宇宙旅行機の安全性基準(案)」をまとめるにあたり、鳥養委員長が巻頭で述べた言葉である。
報告書を完結してから6年余りを経た今、旅行代金を払う不特定多数の一般乗客を相手にした公共の輸送システムとして宇宙旅行機が受け入れて貰うには、30年間を毎年3000時間飛び続けても大きな事故に至ることが殆ど稀(Extremely Improbable)である航空機と同等の安全性を目指すべきだという姿勢には変わりがない。
ところで航空機の安全性は、安全飛行および着陸を妨げるような故障状態の発生が極度に有り得ないという信頼度(Probabilistic)という尺度をもったシステム設計だけで成り立っている訳ではない。自然災害、ヒューマンエラー、設計や整備ミス等、要因の如何を問わず(Non-probabilistic)発生が想定される危険事象(Hazard)に対して有効な対抗手段を有する設計となっているかがもう一つの柱となっている。
宇宙旅行機の安全性設計が求めるべき姿を、今一度再考する。 |
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【講演タイトル】 |
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民間投資によるドイツの弾道宇宙旅行計画 |
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来日できず、欠席となった |
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【経歴】 |
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読売新聞社 編集局解説部 次長
宇宙に関する署名記事多数 |
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【講演タイトル】 |
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ジャーナリストから見た宇宙開発 |
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【講演概要】 |
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国民は宇宙開発をどのように見ているか。 |
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好意的ではあるが無関心といったところではないか。打ち上げ失敗などがあっても「宇宙開発をやめてしまえ」と言った声は出てこない。だからと言って、予算を増やして失敗を乗り越えよとか、国を挙げて有人宇宙開発に取り組めという声も出てこない。 |
何故無関心なのか。 |
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宇宙開発は、先端技術の象徴だとか、夢があることは分かっている。だが、国民の目から見て、何のためにやるのか、何を目指しているのかが明確でないことが問題だ。 |
宇宙開発にこれから何が必要か。 |
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既存のプロジェクトを着実にこなして、成果や実績を挙げたうえで、何を次にやるか
を打ち出すべき。
それと同時に雰囲気作りも必要だ。マスコミ、行政のみならず、投資家・政治家などに対しても、開発をしたい側から、必要性を説き、働きかけていくことが大事だ、それには、関係者たちの熱意と気迫が欠かせない。
座して待っているだけで、一般の国民の理解が得られると思ってはならない。 |
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パネルディスカッション |
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コーディネーター |
的川 泰宣 |
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宇宙航空研究開発機構 執行役 |
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パネラー |
秋山 豊寛 |
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水谷 定博 |
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高野 開 |
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橋本 安男 |
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米本 浩一 |
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知野 恵子 |
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パネルディスカッションの内容は「航空と文化」2005年夏季号;第91号に掲載。 |