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現在、南九州市の知覧特攻平和会館に展示していただいている当協会所有の陸軍三式戦闘機「飛燕」二型を、川崎重工業様のご協力を得て本年9月から約1年間の予定で修復を実施させていただくことといたしました。本年は「飛燕」の初飛行から75周年、来年は川崎重工業様が川崎造船株式会社として創業されてから120周年に当たるという巡り合わせでもあります。修復後は、岐阜県のかかみがはら航空宇宙科学博物館に展示させていただく予定です。 ご存じのように「近代化遺産」と呼ばれる明治以降の近代産業の発展や社会の近代化に関する遺産に対する関心が高まっており、さらに単に外観を保存するだけでなく、作ったり使ったりした人びとの痕跡も含めて保存することによって、文化財として可能な限り多くの情報を未来に伝えようという取り組みも広がりつつあります。 今回の修復では、未来の世代に継承していくべき文化財として、オリジナリティを保つ部分を損ねることなく戦後に加えられた来歴と無関係の改変箇所を取り除くとともに、詳細な記録を残したいと考えています。具体的には、オリジナルの部分とそうでない部分の調査、現在の塗装の剥離とオリジナルの状態に近づけた再塗装、戦後に張替えられた操舵面の張替、失われている部品については同型部品の入手や正確な部品のレプリカ作製が可能であればその組み込みなどを、川崎重工業様のご協力により実施したいと考えています。また、部品の腐食の有無などの機体構造の健全性についても調査を行い、今後の保存に支障がないかどうか確認します。 当協会はこれまでに「飛燕」のタイヤなどを寄贈いただいており、可能であれば今回の修復に活かしたいと考えております。もし「飛燕」の写真や部品、関連する資料などをお持ちの方がいらっしゃれば、是非ご連絡いただければ大変ありがたく存じます。皆様のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。 |
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1953年に東京の日比谷公園で当協会が開催した展示会「航空五十周年記念大会」(1903年のライト兄弟の初飛行から数えて50周年)に展示された際の様子 2015年7月現在の知覧特攻平和会館での様子 |
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平成27年7月 | ||||
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