前田航研工業により製作されたガルタイプ翼ソアラー「前田式703型(登録記号:A-1606)」です。1941年2月7日午前10時26分55秒、河辺忠夫の操縦で久留米市外耳納連山の山頂(標高697m) から発進、風が弱い悪条件の中、翌日の夜中0時8分3秒まで飛行を続けました(操縦席の気温は夕方を過ぎると、マイナス8度以下まで下がったそうです)。そして13時間41分8秒の日本滞空記録を樹立し、その際の約6時間の夜間飛行も注目されました。同機は3機製作され、内2機は満州空務協会撫順支部へ納品されています(満州の1機はストレート翼)。機体の設計、製作には九州帝国大学工学部航空学科教授 佐藤博、前田工研工業所長 前田健一、同所 木村貫一、蔵原三吾など「九州航空会」の面々が関わっていました。この美しいガルタイプ翼は当時ドイツで流行っていたものを採用したようです。今から80年前の2月に日本滞空記録を樹立した機体であることから「今月の1枚」とさせていただきました。 発進地点である山頂は記録樹立から「グライダー山」と命名され、Googlemap(グライダー山のリンク)で確認することができます。
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